妖噺裏事情。
[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
『ゲルニカ』(小話)
過去ネタ。
変わるかもしれないけど、あわよくばこのまま企画の終わりあたりに投下したいなぁとか。
どうやってG回避しようか悶々。
以下追記にて。
喜びの歌は絶望の叫びに変わりました。
見覚えのある人は肉の塊になりました。
飛び散る鮮血。
彩る極彩色。
私は走りました。
まだまだ幼い娘の小さな手を引いて。
伴侶の頭は「早く逃げなさい」と呟いて落ちました。
あの情景が頭から離れません。
ああ、一体何がおこっているのでしょう。
ふいに、私の腕が軽くなりました。
娘の声ももう聞こえません。
「?」
不審に思い振り返ると、娘は少し後ろでうずくまっていました。
何故? 小さなこの手は今私がしっかりと握っているのに。
「パパ、いたいよ、パパ」
娘は自分の腕を抱いてすすり泣いています。
隠れていてよく見えないか細い腕。
その先端は綺麗な切り口をのぞかせています。
「!」
ああ、なるほど。
私は驚愕する自身の頭の別の側面で納得しました。
なるほど。私は必死に娘の腕だけを守っていたのか。
「パパ、パパ」
「 !」
私は彼女の名を叫びました。
ああ、はやく、はやくあの子の元へ行かないと。
「何してんだよとろくさいなァ」
「やめなよ、後生大事にガキの腕なんて抱えるのなんか」
「いっそ潔く殺してやろうか、そっちの方があの子も楽だろ」
私の腕が引かれ、若い男性の声が聞こえます。
目の前に広がるのは鮮やかな色彩。
どこか優しく、冷淡なその声は私に囁きかけました。
「ああ、でも、あんたはきっと嫌がって抵抗するんだろうなァ。もしそうなら……」
「その腕、邪魔だな」
―――――――――――――――――――――
相手はまだここでは秘密。
この後能力が開花→暴走。
大量の真っ黒い写真と沢山の死骸とライカがそこに残るよ。
BGM
『時が暴走する』
『映日紅の花』(椎名林檎)